生きていくためには組織がつねに活動できるように、たえず栄養素や酸素を供給しなければなりません。このような大切な役目を一手に担っているのが血液なのです。
食物は消化され、血液中に吸収されて、いったん肝臓で不要なもの、有害なものが取り除かれた後、心臓に運ばれます。
また、肺で二酸化炭素(炭酸ガス)を放出し、代わりに取り込まれた酸素は、赤血球が運び手となって心臓に送られます。
こうして血液中の豊富な栄養素と酸素は、心臓の拍動とともに体のすみずみに送られ、生命活動のエネルギー源として利用されています。
栄養素や酸素がエネルギー源として使われると、いろいろと不要な老廃物が出てきます。これは終末代謝産物といわれるもので、便や尿、汗、呼気などと、一緒に体外に肺術されます。
老廃物はからだのいたるところに生じますが、これを集めて、それぞれの排泄器官に運ぶのも血液の重要な働きのひとつです。
血液の中には、血球(有形成分)がいろいろと含まれています。その中の赤血球は酸素の運び手、白血球は細菌などの有害微生物を食べて消化(貪食)、そのほか侵入異物に対しては免疫作用で無害化するリンパ球、外傷などの出血時に、急速に集まって出血を防ぐ血小板などがあります。
また、液体成分の血漿には、たんぱく質(抗体、補体)が含まれ、リンパ球とは別に免疫機能に関係しています。
成人の血液は体重のおよぼ8%(1/13)といわれています。体重50Kgの人なら約4Kgが血液ということになります。そのうちの45%が血球成分で、そのほとんどが赤血球で占められています。
検診で採用される「ヘマクリット(Ht)」とは、赤血球容積率ともいわれ、血液中に占める赤血球全体の容積の比率を表したものです。
赤い色をした平たい円盤状の細胞で、ヘモグロビンという成分を含み、酸素や二酸化炭素を運ぶ仕事を受け持っています。
数は女性に比べて男性の方が幾分多く、正常値は1ミリ立方メートル当たり男性430〜550万、女性350〜550万(成人病予防検査標準化等検討委員会報告書より)とされています。
ヘマクリットも男性37〜50%、女性34〜45%と女性の方が低めの正常値が設定されています。
赤血球よりずっと小さくて、有形成分では赤血球に次いで多く、1ミリ立方メートル当たり13〜40万ですが、出血などの時にいち早く集まって傷を塞ぎ出血を凝固させて、それ以上の出血を止める働きをします。
血液の液体成分で、栄養素やホルモン、酵素などの他、ミネラル成分である無機塩類が溶けていて、pHや浸透圧を適正に保つ働きをしています。
赤血球より大きく、いくつかの仲間があり、外部から侵入してきた有害な微生物などを食べてくれます。
数は赤血球に比べてずっと少なく、赤血球の約1/1000の5000個程度です。
白血球の仲間で、有害微生物の防御の仕事をしています。
骨の中心にある骨髄腔には、骨髄がつまっていますが、この骨髄には赤い骨髄と黄色い骨髄があり、赤い骨髄で血球(赤血球、白血球、血小板)が造られています。
このため赤い骨髄は造血器と呼ばれています。
新生児では、全身の骨格で造られますが、成人では脊椎骨、胸骨、肋骨など、からだの中心部の骨で主に造られています。
造られた血液は、骨の中の毛細血管を通って他の血管へと送られます。
黄色の骨髄は脂肪が詰まっていて、造血機能はありませんが、大量出血などの、いざという時は赤い骨髄に早変わりして血液成分を造ってくれます。加齢に伴って黄色い骨髄の割合が多くなります。
赤血球は120日、白血球は2週間、血小板は数日間、リンパ球は数時間の寿命です。寿命がきた赤血球は、1日に2500億個くらいが脾臓や骨髄で壊され、同じ数の赤血球が次々に骨髄で作られます。
血液は全身を巡回しながら、私たちのからだを正常に保つためにさまざまな働きをしています。この働きが自然に、スムーズに行われている時は健康といえますが、何らかの原因で働きが不十分になると、血液は体に信号を送ってきます。この信号をいち早く受け止め、自分の体の危険を知り、その状態に応じた対処をしなければなりません。血液からもたらされる体の大切な情報を放っておくことのないように、定期的に血液を診る(LCA検査)、血液成分を調べるなどの検査を受けることが大切です。
栄養医学研究センター 笹塚クリニックでは、赤血球の寿命に合わせて、4ヶ月に一度の定期的な検査をおすすめしています。私たちの体は栄養素で作られていますから、血液の状態をしっかり把握して、体の求めている栄養素は何かを正しく知ることが健康につながるからです。
さて、寿命がきた赤血球はどうなるのでしょうか?赤血球が破壊されると、中に含まれているヘモグロビンは黄色のビリルビンという物質に変ります。これが血液中に流れ込み、一部が腎臓でろ過され尿中に排泄されるため、尿は黄色いのです。残りのビリルビンは肝臓に集められ処理され、小腸、大腸を経て便に排泄されますので、便も黄色いわけです。
人間のからだには、有害物の侵入から身を守るさまざまな防御システムが備わっていますが、白血球の貪食作用もそのひとつです。外部から悪い微生物が侵入してきて毒素を出すと、まず、白血球のうちのリンパ球が血液や体液に抗体を出して包囲します。
それを合図に白血球(好中球)が引きよせられ、微生物を飲みこみ、毒素を封じ込むというわけです。その結果、白血球も死んでしまい、膿みや鼻汁になります。
@傷口などから悪い微生物が体内に入ってきて、毒素を出しながら増殖をはじめます。
そうすると、白血球の一種のリンパ球が、血液や体液中に抗体という化学物質を出します。
A抗体は、血液や体液の流れで運ばれて、毒素を出した微生物を包囲してしまいます。
Bそこに白血球の一種の好中球が登場し、2本の足のように変形して、それで微生物を包囲します。
C好中球は体内に微生物を取り込み、水をかけて溶かしてから食べてしまいます。
Dこのようにして体はリンパ球、好中球によって守られますが、使命を果たした好中球はそのまま死んでしまいます。
そして、その死骸は膿や鼻汁に含まれるのです。

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